変化4:家での「食」の変化「効率」と「充実」の両立が課題に
家にいる時間が増えることで、必然的に増えたのが家での食事です。家で食事をする回数と人数が増えたことで、多くの人が家での食に向き合い、工夫をするようになりました。「キッチンで作り、ダイニングで食べる」というこれまでの家での食事の当たり前とは違った、様々な「おうちごはん」のあり方が広がっています。
86%が「家でご飯を食べる頻度が増えた」
RoomClipユーザーへのアンケートでは、86%の人が「家での食事頻度が増えた」と回答しました。ユーザーアクティビティを見ても「おうちごはん」というタグがついた投稿数が2020年に急増しました。
RoomClipは家の中に特化したプラットフォームであるため、食事の投稿は必然的に「おうちごはん」となります。これまではわざわざ「おうちごはん」のタグをつける写真は限定的で、その多くは祝い事や季節の節句と関連する食事、休日の自炊など「特別な時間」でした。一方でコロナ以降の「おうちごはん」タグの投稿数急増は、日常の食事をわざわざ「おうちごはん」と銘打って写真を投稿するケースが増えました。
食の習慣に大きな変化。44%がテイクアウト、43%が食材ストック。
食事にまつわる新たな習慣としては、40%以上の人が「テイクアウト」や「食材のストック買い」と回答。デリバリーやお取り寄せなども含めて、家の中での食の習慣の多様化が進みました。
32%が効率を重視しつつ、豊かさも同時に実現したいという意向を持っている。
「おうちごはんで意識したこと」を複数回答で聞いたアンケートの回答は示唆深いものでした。55%の人が「できるだけ手間や時間を省きたい」と答えましたが、その半数以上が同時に「器やテーブルコーデなどにこだわり、見栄えを良くしたい」「カフェタイムを意識的に取り入れたい」といった食を豊かにする選択肢も選びました。日々の食事において効率化だけが求められているわけではないことがわかります。
頻度が急増した食事に対するアプローチとして「効率化」を求めることは、自然な流れである一方で、「質を疎かにしたくない」という願望も同時にある場合が多いようです。テイクアウトは手間がかからず、外食気分も味わえるため、「効率」と「質」を同時に満たす手段として人気を集めました。
また時短を実現する家電を購入した人も目立ちました。時短が叶う調理家電として2019年に登場した人気の電気鍋も、2020年3月頃投稿が急増し(前月対比450%)、今も伸び続けています。食事のシーンとしては、毎日毎食同じ場所という状況から脱するべく、ベランダやテラスを第2のリビングとして整え、そこで食事をする様子も多く見られました。
3食ご飯を用意すること、、、。。😭
最後の方には料理する気持ちもバテててしまい、ついに入荷待ちして買ってしまいました!
変化5:収納・整理整頓と、心の衛生管理
「収納」と「整理整頓」は、RoomClipにおいて以前から注目度が高いトピックで、数多くの人が収納や整理についてのノウハウや悩みについて投稿や検索をしていました。そんな定番のトピックにも、新型コロナによる暮らしの変化が影響を与え始めています。
トイレットペーパーだけでなく、最近は、買い物回数を出来るだけ減らしたいので、少しずつの備蓄心掛けています。備蓄となると置く場所が、必要。狭い家なので、買ってあるものが把握出来るよう収納場所を見直しています。
こちらは一番上の棚を低くして届きやすくしました(:3っ)∋
一番下のシュレッターは使うときに出すシステム(:D)┼─┤
ダイソンはただ今旦那が上で使用中(:3っ)∋
ステイホームは収納見直しのきっかけに。
RoomClipユーザーへのアンケートでは、整理収納について取り組んだこととして、62%が「持ち物全般の見直し・処分をした」と回答。「クローゼットや押し入れの整理」「収納スペースの見直し」もそれぞれ過半数以上が実施しています。
また「コロナの影響により新たに購入したもの」としても、33%の人が「収納用品」と回答しています。家にいる時間が増えたことによって、改めて収納が住まいにおける主要なトピックとなりました。
「備蓄」が収納の主要トピックに。23%の人が食品のストックスペースを設置
今回の調査で見えてきたのは「ストック」「備蓄」に対する意識の変容です。「新たにつくったスペース」としてもっとも回答数が多かったのが「食材のストックを収納する場所」(23%)。前項で触れた「食事に関して新たに取り入れたこと」についての質問でも42%が「食材のストック買い」を新たに始めたと回答しています。
これまでは「必要なものを必要なときに、必要な分だけ買う」としていた家庭の多くが、コロナによる外出制限が長期化する中で「買い置き」も取り入れざるを得ない状況になったことが関係していると考えられます。そうした行動変容に伴い、食品や飲料を中心とした「すぐに消費されないもの」を収納する場所が新たに必要となり、多くの家庭で「ストック収納」の手段について考えるようになったと言えるでしょう。
もともと人気トピックの収納も、コロナでやはり投稿数が増加
住環境においては、withコロナの暮らしは「家の状態」を見つめ直すきっかけになったということがいえます。これは大きく分けて、「サステナブルなキレイ」と「ストック収納」という2つのキーワードから紐解くことができます。
家で過ごす時間が増えた中で、多くの人が「不用品処分」や「収納の見直し」など、「家をキレイに整えること」に取り組んだ事が分かります。特に複数のメンバーと同居する家庭においては、家がキレイに整っていることは、自分自身や家族の心の衛生状態を健やかに保つためにも重要な課題となります。その最初の大きなステップとして、手にした家で過ごす余暇を多くの人が「整理整頓」や「不要物の処分」に充てたのでしょう。しかし、一時的なキレイは、家で過ごす時間が増えた新しい日常ではサステナブルではありません。掃除機の買い替えや収納の見直しも行われたのは、キレイな状態を無理なくキープするための手段の一つとして選ばれたからだと言えます。
コロナで夫が家飲みになってから、箱買いしている強炭酸水ペットボトルを、アイリスオーヤマのメタルラックに箱ごと収納しました。
2020年5月頃はキッチン収納やストック収納を見直している様子が多く投稿されました。パントリーが元々ない家ではエレクターや台車を活用したり、既存の棚を整理してスペースを空けたりなどの工夫が凝らされました。欧米の住まいでは一般的な「パントリー」ですが、今後は日本の家庭においても必須な設備となっていくかもしれません。
「住まい」と「食」という、暮らしのもっともエッセンシャルな部分とどう向き合い、快適な状態に整えていくかは、その多様性から、簡単に普遍的な答えが見つかるものではありません。RoomClipでも、引き続きさまざまな知恵や工夫が発信され、共有されていくことでしょう。
お惣菜やテイクアウト、冷凍やレトルト、インスタント、もちろん利用してどうにかこうにか過ごす日々。