2021.04.20

新型コロナで変わった暮らしと住まい:前編

新型コロナウイルス感染症の世界的な流行から1年。人々の生活・暮らしは大きく変わりました。暮らしの変化に伴って、住まいにも大きな変化が押し寄せています。
緊急事態宣言やまん延防止等重点措置、ワクチンなどの対策は進んでいますが、生活様式はコロナ以前に戻ることは想定しづらく、コロナ後のいわゆる「新しい生活様式、ニューノーマル」は今後さらに定着していくことが予想されます。
生活の変化に伴い、この1年間で住まいはどのように変化したのか。そして今後どのような変化が想定されるのか。RoomClipに投稿された写真や行動データをもとにレポートします。

変化1:衛生志向の高まりが、家の中に新たなスペースを生んだ

コロナをきっかけに最も大きく変わったことの一つが人々の衛生習慣です。街に出れば人々がみなマスクを着用し、ビルなどに入る前には備え付けの消毒液で手指を除菌するーー。そんな光景が当たり前になりましたが、それに伴って家の中にも大きな変化が訪れました。

Room No.1610271 : megoo
マスクを忘れがちな男子たちのため、布マスクをシューズクロークに収納する方法を考えました。
帰宅後に、左の紙袋に洗濯するマスクを入れてもらって、まとめて洗濯しようかと。
Room No.697368 : Sakura
アルコールディスペンサーを玄関のどこに置こうかな~と思っていたら無印の壁に付けられる家具に小さいサイズが出ていた😆
低い位置に付けても邪魔にならずちょうど良いサイズ❤️
もともと付けていた棚にはリセッシュを置いて洋服をシュッ
アルコールは低い位置に置いてるので子どもも自分でシュッ

76.2%の家庭で除菌アイテムの常設スペースが誕生。「玄関にマスク置き場」は17.8%。

RoomClipユーザーへのアンケートでは、83%の人がマスクの保管場所を家に作り、76%が自宅に除菌アイテムの常設スペースを作ったと回答。特に玄関にマスクの保管スペースを作った人は18%となりました。
使い捨てマスクの収納にも使える収納アイテムや、見た目がシンプルで使いやすい除菌スプレーの容器、あるいは急増した衛生関連アイテムの収納の仕方などのノウハウが数多く共有されました。

Room No.1000793 : Tino
アルコールスタンドが欲しくていくつか比較検討しました。
結果、選ばれたのがこれ。
ニッチで痒い所に手が届く絶妙ラインナップが大好きなTOWERシリーズ。
実はこれ、幼児用補助便座スタンド。
補助便座用のフックにはファブリーズを引っかけています。一旦この位置に仮置きしてみたけどここより玄関の外が良いかな。
Room No.1718534 : Mintea
玄関に入る前に手洗いできるよう、ポーチに立水栓を設置しました🚰
散水線の予定でしたが、コロナ禍になって急きょ立水栓に変更しました
子供がどんなにばっちぃ手で帰ってきても安心です♪( ´▽`)
  • 玄関に消毒やペーパーを設置しドアノブや衣類等の消毒をしてから入室出来るようにしました。
  • 来客や宅配業者さんが来た時用にすぐにマスクをして外に出れるように玄関にマスクをかけるスペースを作りました。
  • 使い捨てマスクは部屋に持ち込まず、すぐに捨てられるように、玄関にゴミ箱を設置しました。
  • 洗濯機の側面にマグネットで洗濯ネットをぶら下げ使用済み、洗濯するマスクを入れる、マスク入れを付けました。

マスク・除菌アイテムはすでに定着。投稿&検索の波は落ち着き。

RoomClipのユーザーアクティビティを時系列で見ると、マスクと除菌に関する投稿数と検索数は、ともに第1回目の緊急事態宣言が発令された2020年4月に爆発的に伸びました。前後の一年間で集計してみると、投稿、検索ともに約7倍の伸びとなり、マスクの収納や除菌アイテムの置き場所に関する情報が数多くやりとりされたことがわかります。
投稿の盛り上がりは収束しつつあり、一方で検索は年が明けて再度小さな波が来ています。収納方法などについてのアイデアがある程度出揃って、目新しさがなくなったことから投稿は落ち着いたものの、アイデアを探すニーズは引き続き残っているとみられます。

新たに買ったものに衛生・掃除関連のアイテムが多くランクイン。

コロナがきっかけで新たに購入したもの/買い替えたもののアンケートにも、衛生関連のアイテムが数多くランクインしました。マスクや除菌スプレーはもちろんですが、掃除機や加湿器、空気清浄機、エアコンなど住環境の清潔さを保つ家電が多く買われました。

  • 家族で帰宅時に玄関で除菌出来るように除菌スプレーと自動ハンドスプレーを購入して設置しています。家族のルーティンになっています。
  • 加湿も大切と見聞きしましたので。加湿器は以前からありましたが、容量が小さかったので大きめの物を購入しました。
    ウイルス対策用に除菌スプレーも何種類か。マスクも必須なのですがそのまま置くのは嫌なのでマスクを収納出来るケースを購入しました。

変化2:当たり前になった在宅ワーク、家の中でどう働く?

コロナをきっかけとして首都圏や関西圏を中心に本格的に進み始めた在宅ワーク。オンラインで仕事ができるツールや環境が整備されていたこともあり、外出制限が緩和されている期間でも継続して在宅ワークをする人が増えました。
ただしもともと書斎やワークスペースがなかった家庭も多く、RoomClipには在宅ワークをするための創意工夫や、急遽やることになったドタバタについての投稿が数多く寄せられました。

Room No.4083461 : erico812
リモート会議用に、急遽築40年の洋間押入れをデスクに・・・
Room No.3284493 : japanmm
リモートワークデスクを作成。
制作時間6時間位
費用約7500円
Room No.5020963 : sanu
保育しながらのテレワーク。
この状況がGW後も続きそうなのでリビングに私のパソコン机を持ってきました💦
少しでもスッキリ見えるようにホワイト基調で壁と同化(薄目で見れば、、)させて、
チェストの上面は物を置きすぎないように(仕事中は広く使える)
この配置、いつまで続けるか未定ですが「あの頃は大変やったな、みんな頑張ったな、、」と懐かしむ時がきっと来ますよね。記録として残しておきます。
Room No.900101 : kana_homestyle
ただいま夫婦で在宅勤務中です(^^)
この生活が始まることになった時、ダイニングカウンターを急きょ仕事デスクにしました。3週間がたち旦那さんの仕事本が増えてきた…ので席替えして本コーナー作ってみました🎶
即席ワークスペースだけど結構気に入ってます(*^^*)

在宅ワークに関連する検索と投稿が急増。2021年に入ってさらなる盛り上がり。

在宅ワークに関連する投稿は緊急事態宣言の前後1年間で比べると85倍、検索は306倍と急激に増加しました。最初の緊急事態宣言が発令され、急遽在宅ワークを始めることになった家庭が多かった2020年4月に大きく増加。その後少し落ち着きますが、夏ころにまた小さなピークがあります。これは在宅ワークの長期化に備えて、環境をより整備する人が多かったためと見られます。
そして投稿、検索ともに2021年に入って更なる盛り上がりが生まれています。二度目の緊急事態宣言が発令されたこと、そして新年度に向けて改めて在宅ワークの環境を整える家庭が増えているとみられます。

在宅ワークはダイニングが41.3%。専用スペース派も根強い。

多くの人が頭を悩ませたのが、「在宅ワークをどこでするのか」です。書斎やワークデスクがない家庭では、やはり机と椅子がある場所ということでダイニングスペースが最も多く在宅ワークの舞台となっているようです。
また夫婦や親子など、一家で複数の人が在宅ワークをせざるを得ない状況が生まれたのも新型コロナの影響といえます。コロナで大きく変わったライフスタイルに合わせ、家族がそれぞれのタイミングで作業や勉強をできるようなスペースを新設したという投稿も見られました。

Room No.4755116 : gooska
LDKに隣接したリビング学習スペース。
家族で使えるように、2700mmの長い造付けカウンターにしました。
手前が子どもの勉強スペース(日中は私の在宅ワークスペース)。
奥は、去年の3月から完全リモートワークになった主人のワークスペース。
Room No.905263 : hara
夫がリモートワークになった為に、この夏リビングが色々変わりました。
リビングオフィス化計画☆
先ずはダイニングテーブルを購入。伸縮タイプのコンパクトなものから少しサイズの大きなものへ。
Room No.4512265 : mm
最近気に入っているリモートワークスペース。
使われてなかったウッドデッキがやっと活用されてます。
Room No.1164615 : mei
押入れを隠し書斎スペースにしました😊

在宅ワークへの温度感は地方と首都圏で大きな違い。

在宅ワークについては、全国と首都圏で大きく回答傾向が変わったのも特徴です。緊急事態宣言などの影響を強く受けた都市部で在宅ワークは大きく広がりました。東京都では、在宅ワークを始めた・増えた人が合計62%に及んだのに対して、全国では34%にとどまりました。

変化3:「おうち時間」投稿で見えてきた、「暇つぶし」の再定義・再構築

RoomClipなどのSNSでは、家の中のアクティビティを表す際にタグの冒頭に「おうち」をつける文化があります。昔からの定番だった「おうちカフェ」がその代表です。そんな家の中のアクティビティと趣味の時間もまたコロナの影響を大きく受けました。家の中にいる時間が圧倒的に増えたこと、そして外でのアクティビティを抑制せざるを得なくなったことで、家の中で楽しく豊かに過ごすための様々な知恵や工夫がRoomClipに投稿されました。

Room No.3267910 : taiki17
いえきゃんぷ🕴🏽
自粛中も家で楽しく過ごせるって有難いなと実感してます😌
こんな時だからこそ家での時間を楽しみましょう😊
コロナが早く収束する事を願って今は自粛を頑張ろう!
Room No.2865355 : ririri
家にいる時間が増えたので、おうち時間を満喫するために購入した『プロジェクター』、『ファイヤースティック 』、『ロールスクリーンカーテン』。
この3セットは間違いなく私のおうち時間を満喫させてくれるアイテムになりました。

「おうち○○」のタグは一気に多様化。通常の年に比べて2倍以上の種類のタグが生まれた

「おうち」で始まるタグがどれくらい新しく生まれているかを調べたところ、2020年2月以前までは毎年の生成数が安定していましたが、2020年3月からの1年間は従来に比べて2倍以上の種類の「おうち○○」のタグが生まれていることがわかりました。家の中でのアクティビティが増加しただけでなく、多様化していることが読み取れます。なかには「おうちアウトドア」や「おうち夏祭り」といった、コロナ禍ならではのユニークなタグも登場しました。
「おうち○○」関連の投稿・検索も2020年4月を境に大きく伸びました。前項の在宅ワークは4月がピークだったのに比べて、「おうち○○」は1ヶ月遅れた5月にピークが出たのは興味深いところです。

Room No.800805 : tyss
今年初のキャンプは、リビングの土間サイトでした。
Room No.326078 : yukinko
昨夜のベランダ晩ご飯はキャンプ道具を引っ張り出してきてお座敷スタイル✨
マンションのため、火気は厳禁なのでBBQをすることもできず、無駄に広いなぁと持て余していた専用庭ですが、コロナ自粛生活で初めてありがたさが(笑)
自粛中にもっといろいろと手を入れて快適なアウトドアリビングにしたいと思います✨

コロナきっかけで97%の人が新たなアクティビティをはじめた/増えた。

「RoomClipユーザーへのアンケートでは、「2020年3月からの1年間で新たに始めたこと」として、料理や換気などに次いで「宅トレ」「DIY」「ガーデニング」が上位にランクインしました。また、個別回答では「お菓子づくり」「味噌作り」「糠漬け」「キムチ作り」なども挙げられました。

おうち時間の増加をきっかけに始めたアクティビティには大きく2つの特徴が見られます。1つ目は、「居酒屋」「キャンプ」「カフェ」など、本来は家の外で行われるものをおうちの中に取り入れる傾向が生まれたということです。これにより家での楽しみ方に多くのバリエーションが生まれました。
そして2つ目は、家で過ごす余暇の種類が増え、再定義・再構築が行われたということです。ゲームや読書、動画鑑賞など、これまでポピュラーだった家での暇つぶしを「消費活動」とすると、新型コロナの期間に増えたおうち時間の過ごし方として、DIYや味噌づくり、糠漬けなど何かを生み出したり、その過程も楽しめて達成感を得られる「生産活動」に注目が集まりました。

Room No.5082702 : fuku-mimi
子供も大人も、ボルダリングに登ったり、雲梯にぶら下がったり、ハンギングチェアにしがみついたり?!
いい運動になってます🏃‍
Room No.4612553 : tkf-0705
我が家のおうち時間といえば、テレビ前での「宅トレ」。
ステイホームで外になかなか出られず運動不足になりがちになったので、リビングにトレーニングスペースを作り、夫婦で毎日トレーニングをしてます♪器具を色々と買い揃え、運動不足は少しは解消できました♬

RoomClipでも人気がある「丁寧な暮らし」タグの投稿数も、2020年4月ごろから急増(同月昨年対比327%)しています。何かを一から手作りすることは、そこにかける時間ごと慈しむ「丁寧な暮らし」文脈では代名詞的な活動といえます。
DIYやハンドメイドを楽しむ様子も多く投稿されました。中にはタンクレストイレや砂場、トレーニングスペースを自作するなどの大掛かりなプロジェクトに取り組んだユーザーもいました。

Room No.5295254 : tymiki_y
初めてのDIY⛏です!
骨組みは突っ張り棒、パネルはカラーボード…となるべく低コストを目指しました‼︎
(小物もレジンで手作りしたもの置いてたりします‼︎)
Room No.1452321 : hi_room
お砂場DIY
砂遊び大好きな息子に主人が作ってくれました😊
コロナの影響で遊び場も制限されている中なので、とってもありがたい🙏
息子は夢中で遊んでいます✨
暖かくなってきたのでお庭計画も進めていきたいところ…

後編はコロナで変わった「食」と「収納」をレポート

前編では、「衛生志向」「在宅ワーク」「おうち時間」についての変化を取り上げました。これらはいずれも、コロナ以前にはRoomClipにおいてそれほど大きくないトピックでした。それらがコロナによって注目が集まったという変化でした。
後編では、もともとRoomClip内で人気のあるトピックだった「食」と「収納」を取り上げます。もともと多くの人の関心があった分野では、コロナで何が変わったのか。後編もぜひご覧ください。

新型コロナで変わった暮らしと住まい:後編はこちら