2023.03.10

電気代高騰が暮らしをどう変えている?2023「節電」事情最前線

原油と天然ガスの高騰に連動して、電気やガスなどの光熱費値上がりが社会の大きな関心ごとなっているのは、周知のことです。実際、ここ1・2ヶ月の利用明細を見て目の当たりにしたという方も多いのではないでしょうか。このことはRoomClipにおいても話題に事欠かず、いち早く対策に取り組んでいる生活者の様子が日々たくさん投稿されています。
そこで、今回のレポートでは生活者が節電に向けて動き出している様子を、ユーザーの行動データと直近の投稿実例とともにご紹介します。リアルな暮らしの現場と声を、ご覧ください。

1:データから見る、電気代高騰による行動変化

まずは、我々もドラスティックな結果に驚いたデータからご紹介します。

上図はRoomClipにおける「節電」というワードを含むキーワードの検索率の推移です。2022年12月に激増し、2023年1月にはさらに上昇。劇的な推移を見せています。

各電力会社のウェブサイトから得たデータを参照すると、2022年9月頃から燃料調整単価の上昇が目立ちはじめ、今も続いていることがわかります。このデータを年間の電気代推移に関するデータとつきあわせてみると、使用量のピークとなる冬場に電気料金が上がることは自明です。さらに、電力大手7社からは2023年4月以降、家庭向け電気の規制料金値上げが申請されており、生活者の不安をより大きくさせています。 これらのことを考えると、冒頭で紹介した「節電」のキーワード検索率を示すグラフからは、電気代が突然高騰した結果「何か手立てはないものか」と、RoomClip内でノウハウを必死に求めた姿が目に浮かびます。

RoomClip内での生活者の行動をもう少し深く掘り下げるため、まずは住まいの中での消費電力として最も大きな割合を占めるとされる「エアコン」(出典:JCCCA 全国地球温暖化防止活動推進センター令和3年度家庭部門のCO2排出実態調査事業委託業務(令和3年度調査分の実施等)報告書 世帯当たり年間消費量の機器別構成(2019年度))というキーワードに注目してみました。

2021年11月から2022年1月までと、2022年11月から2023年1月までの期間に分けて「エアコン」を含むRoomClipの全コメントをテキストマイニングし、ワードクラウドで出力したものが上図です。大きめに表示されている文字と青色の文字に注目することで、「エアコン」にまつわる主な話題が見えてきます。 すると、2022年11月からの3ヶ月で、2021年には登場していなかった「電気代」というキーワードが目立つようになったのがわかります。

この結果と連動するように「電気代」というキーワードを含むタグの種類も、この3ヶ月で増えています。電気代高騰に対する素直な驚きや悲しみをそのままタグにしたものが目立ちますが、早いタイミングで現象への前向きな姿勢を示すものも生まれていました。

2:投稿実例から見る、生活者の具体的な対策や消費行動

電気代高騰という現実に立ち向かうべく、動き出している生活者。具体的に、今、どんな対策を行っているのでしょうか?
ここからは、2022年11月から2023年2月までの直近4ヶ月に期間を絞って、ユーザーの投稿をたっぷりとご紹介していきます。リアリティ溢れるコメントとともにご覧ください。

電気の利用時間を変える

Room No.5918249 : nico
電気代高すぎる😭
ちょっとでも安くなるように、電気代が少しお安くなる夜中に洗濯まわすようにしてます⭐️
携帯で遠隔操作できるのとても便利🥺
Room No.1610271 : snoopy
我が家はオール電化。エコキュート
今までめいいっぱい使用しても2万超える事なかった我が家
それが先月3万超えました🥲

マジでびっくり。
その日から石油ストーブのみで余程の大雪の日以外はエアコン付けるのもやめました。

そして色々調べて他に始めた節電は
我が家は夜23時~朝7時までが1番電気料金が安くなる時間帯。

先月から23時になってからご飯を炊いてその後スグに1食づつ小分けにして即冷凍。
毎日炊くこともやめました。

そして炊飯器のコンセントも直ぐに抜いて保温機能も一切やめました。

※加入プランによっては、使用する時間帯が電気料金に影響しない場合もあります。

「使わない」選択をする

Room No.5419917 : mi-sa
今までは、朝干していたけれど
よる干して浴室乾燥機を使っていたけれど、

夜洗って、部屋干し
天気のいい日は
窓の物干し竿と布団干しを使って
昼間は太陽の当たる場所に移動して。

電気代節約です。
Room No.408726 : miemekko
蓄熱式暖房機使うのやめました。
去年は節約の為、4台だけ稼働。冬場のみ使用。
1月で、オール電化で6万いかないくらいでした。

今月の請求みたらば、99000円!
😨😱😨😱😨😱😨😱
ウソー😭😭😭😭マジ?やばいって😭😭😭

やばいやばい絶対生活できなくなる!
だから、消しました!蓄暖。
Room No.956033 : tsutawarimasu
電気代高騰で節電を考え、よくよく家電を見直したら、なんと!鳴ってもいないTVスピーカーやBOSEウーファーやクロームキャストまで待機電力を使っていました!

そこで、壁掛けスイッチ付きOAコンセントをテレビ台に取り付け、日中使わないときはまとめてSwitch Off!

床面転がしのOAタップではON.Offも面倒ですが家具に固定してしまえば気軽にOffできます。
コンセント直付けは時計機能のあるレコーダーのみです。

節電を極めます。

暖房機器を変える

Room No.1338632 : hashika
電気代が去年より月3万も増えたので、石油ストーブ生活に変更!
パパ特製ストーブガードを改良‼︎
娘が手をねじ込むので、横向きにすのこをプラス‼︎
Room No.4803502 : ayataro
電気代が上がって床暖房をつける勇気を失ったので、今年はオイルヒーター出しました。
乾燥しないところが好き❣️ 窓際に置くと、部屋全体が暖まります💡

より電気使用量の少ない家電や暖房アイテムを、新たに購入する

Room No.4807735 : chie
電気代高騰のためリビングの加湿器をヒーター式から気化式へ買い換えました!!エアコンと併用しています。電気の消費量が全然違うので1日中つけててもそわそわしなくなりました笑
そして、暖房温度を無駄に上げられないために、子供用のパーカーをリビングに置いてます💦
Room No.826193 : UNI.mama
今年からこたつデビューしました!
全室床下暖房を切ってこたつにしたら電気代が4万円安くなりました!
しかもこたつってとってもあったかいんです✨

エアコンとサーキュレーターも併用して 節電しながら部屋の暖かさも保っています!

こたつ購入はずっと悩んでいたのですが 変形した楕円形でツヤのない天板のこちらの こたつを見つけて一目惚れ💕
寒さと節電対策でしたが今では我が家に なくてはならない存在になっています!
Room No.1041526 : mocomocha
この冬は電気代高騰のため、パーソナル暖房を充実させようと、電気ブランケットを購入しました🤗

家計全体の節約をサポートするアイテムを取り入れる

Room No.6029748 : ri-ko
電気代高ーい!
なので、今年新入りの保温ポット🫖
なかなかの保温力で、朝沸かしたお湯は夕方まで温かく頂けます。
Room No.5613498 : izumiko
電気代高騰で滅入ります😰🔥
昨年よりも、先月よりも使ってないのに・・・😭
年末年始は居なかったのにぃ・・・
明日からドリンクは買わずに持参します。
(タンブラー2個)
心の叫びでした📣
Room No.4475058 : Emafu
足元にミニセラミックヒーターを使っていましたが
急激な電気代高騰なので😱
最近はセラミックヒーターはあまり使わないで済むようにと
フワモコルームシューズを買い足して愛用してます🥰
めっちゃ暖かくて買って正解😆👍

3:顕在化した「断熱」へのニーズ

ここまでは使用時間や消費電力の低いアイテムを取り入れるなど、直接的に電化製品自体の消費電力量を減らす節電アイデアをご紹介しました。合わせて、住まい環境自体のより根本的な対策にも目が向いていることが足元では見えています。今、改めて注目を集めているのが「断熱」です。

「断熱」というワードを含むキーワードの検索率を調査してみると、こちらも「節電」同様、2022年12月から急増していました。

「断熱」の話題自体は目新しいものではありませんが、語られる文脈がこれまでと変わった面が読み取れます。これまでは家づくりにおけるテーマの一つとして持ち出されることが多く、主に新築やリフォームに関する話題として上がっていました。実際に2019年11月から2020年2月における「断熱」を含むコメントを分析すると「設計事務所」「工務店」「注文住宅」などのキーワードと共に言及されていることが上図から分ります。ところが現在(2022〜2023年)では、「冷気」「寒さ」「結露」や「窓」「カーテン」「DIY」など、寒さ対策に関連する話題として登場していることが伺えます。
投稿を覗いてみても、DIYによって断熱性を高める工夫をしている様子が多く見受けられます。いくつか具体的な実例をご紹介します。

カーテンやシートを用いた対策

Room No.5013498 : betty2
今年は光熱費の高騰で、オイルヒーター、セラミックヒーター、ガスの床暖は封印中です。 電気もガスも灯油も価格が上がり、自主防衛するしかありませんよね😭

外気温の影響を一番受ける窓は、
① 戸建てで使っていたサイズオーバーなカーテンを掛け。
② レースよりも目が詰まっているタープを掛け。
③ DAISOのビニールシャワーカーテンを挟み。
④ レースカーテンはポールに掛けて、カフェカーテン代わりにして。

そしてホムセンで購入した、蛇腹折の断熱パネルを掛けて、カーテンの隙間からくる冷気を防いでいます。 これだけでも、エアコンで暖めた、暖かい空気を逃さないでいると思います。
Room No.5588293 : Yuryxxx
今月の電気代がめちゃめちゃ高くて、節電しなきゃ!っとリビング階段にカーテンを設置しました😅

ダイソーで買った突っ張り棒と、カーテンは長さをカットして使えるのを選びました☺️
吹き抜けから来る、風は少し緩和されたかなぁ😂
Room No.3851411 : mkmkmoomin
今年から始めた寒さ対策。
安いプラダンをカットし✂️、2枚重ねて養生テープで留めて窓際に置くだけ。

ペアガラス窓ですが、障子のみだとやはり冷気が気になります💦カーテンの有難みったら。
電気代高騰もあり、少しでも冷気遮断を安く出来ればと、プラダンに行き着きました。
あるとないでは結構違いました‼️
気になっていた明るさもそんなに遮らなかったので良かったです♬*°

二重窓(内窓)のDIY制作

Room No.671107 : hito-hito
この冬、DIYした内窓は1番の寒さ対策です。
朝晩などは内窓の中と外だと
10℃近く差がつくので、「そりゃ寒かったな〜もっと早く作ればよかったな。」と思うほど効果がありました。

電気代も大変なので、お部屋の暖まり具合で 消してみたりと調節しています。

数年前の冬より暖かく過ごせていると 実感しています✨
Room No.4789196 : R.S.K
寒さ対策のため、窓枠作り始めました😅
電気代も上がってるし、少しでも節約出来るように笑笑

ここまで、節電対策と同様に生活者がDIYによって行っている断熱対策を取り上げてきました。最後に、今後の住まいのあり方を示唆する投稿を2つご紹介します。

Room No.914273 : CoffeeHouse
LIXILさんの内窓で快適になったリビングですが、やっぱり冬の寒さにはこたつ☺️
エアコンがすごく効くようになったので 石油ファンヒーターは思い切って処分しました。灯油を入れるという面倒な作業からも解放され嬉しい♡
いつもは和室との間の建具を外して使ってますが、冬の間はしっかり閉めて 暖房の効率を上げています。
Room No.2480229 : alcho
光熱費めっちゃ高かった😱
去年の同じ月と比べて使用量はほぼ同じなのに
請求額は約1万円上がってた😭
特にガスだけで8000円上がった😱

請求来てから一週間
お昼はガス床暖、我慢

古いオイルヒーターも
電気代かかるからダメ

苦手なエアコンON
設定温度は20℃
今はしのげる…

だけど…
明日から最強寒波来るよ😭

今日までに内窓⁈二重窓⁈って
いうのをDIYしてみるかと?
YouTube観まくってるけど…

無理…😓
きちんと寸法測らないとダメな奴
苦手…

上の投稿は、いずれも窓の断熱対策について言及されている投稿です。片や、メーカーによる内窓を設置したことで得られたプラスの効果を伝えていて、もう一方は二重窓の設置を検討しているもののDIYでの実現は難しいことを吐露しています。 注目すべきは、いずれの投稿においても投稿者のフォロワーによるコメントが多く、情報や意見交換が非常に活発かつ具体的に行われているということです。この例のようなユーザー間のコミュニケーションは、SNS領域において今後ますます盛んになると考えられます。

電気代の著しい高騰がSNSを中心に話題となってからわずか数ヶ月、暮らし領域の現場ではスピード感を持ってさまざまな対策を実行している生活者の様子が見られます。これまでも節電は節約に関心を持つ生活者の間では当然のこととして行われてきましたが、今ではより幅広い層で彼らが発信してきたノウハウが取り入れられています。 今年の4月から6月にはさらなる電気代の値上げも考えられる状況のなか、この動きはより一層広がっていくことでしょう。
一方、例えば省エネを推進する住宅業界では「ZEH(Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の略語)」などのキーワードが直近聞かれつつありますが、生活者の間では関連しそうな動きがまだ見られていません。現在進行系で進んでいる「節電」の話題について、今後もレポートしていきたいと思います。

このレポートの調査メンバー

  • 主任研究員・調査
    水上 淳史
  • 研究員・文
    清水 麻未