1:暮らし・住まいこだわり層は61%がSDGsを意識した行動を実践
まずは、SDGsに関するユーザーの認知度や行動、興味関心について、2021年12月に実施したアンケート結果を元に解説します。
SDGsに対する認知度としては、87.8%のユーザーが「SDGsについて知っている」と回答。30〜40歳代の女性が中心ユーザーであるRoomClipにおいては、9割近くにのぼることが分かりました。比較として、損害保険ジャパン株式会社が2021年8月に全世代を対象とした調査(n=1204)(※1)を参照すると、「よく知っている(28.3%)」と「まあまあ知っている(48.1%)」をあわせて76.4%が知っていると回答しています。
また、日常生活でSDGsや社会問題を意識して行動している人の割合は61.6%という結果になりました。同様に、損保ジャパンの調査結果(※2)を参照すると「意識し、行動している(12.2%)」と「何かのきっかけで意識したときに、行動することがある(27.9%)」をあわせて40.1%が実践していると回答。
これらの調査結果の比較から、住まい・暮らし領域のこだわり層、イノベーター〜アーリーアダプター層が多いRoomClipにおいてはSDGsの認知度も、実践している人も、一般的な傾向より割合が高いといえそうです。
※(1)(2)参考:損害保険ジャパン株式会社「SDGs・社会課題に関する意識調査」
また、RoomClipユーザーに、SDGsの17のゴールのうち興味のあるものを複数回答で聞いたところ、「貧困をなくそう(35.1%)」、「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに(33.7%)」、「人々に保健と福祉を(33.0%)」が3割を超えてベスト3となりました。ファミリー層が多いRoomClipでは、これらの3つは自分の家族や子ども達の未来に直結する課題として「自分ごと」に捉えやすいのかもしれません。
2:投稿写真から解った、シェアされやすいSDGsの実践の工夫は「再利用」「モノを長く使う・リペアする」
RoomClipでは、定期的に運営側が提供するテーマに合わせてユーザー投稿を募る「投稿イベント」を実施しています。2021年10月〜12月にかけて実施した投稿イベント「教えて!おうちで見つけたSDGsなこと」の投稿内容を見ると、暮らし・住まいにこだわりを持っている層が、SDGsを意識して実際に実践している行動や、どのようなことを人に伝えているのかがよく分かります。
実践の主戦場はキッチン
まず、投稿された「場所」に関しては、もっとも割合が高かったのがキッチンでした。暮らしのコミュニテイにおいて、まさに生活の根幹ともいえる場所がSDGs実践の主戦場であるという結果です。
毎日出る
コーヒーカスの再利用 𖠚⢀⠜°༶𓈒☕︎𖥧⢄𓂃
トレイに広げて自然乾燥させて
ガラスジャーに入れて冷蔵庫へ
強烈キムチのニオイも消してくれてます
投稿内容のランキングから見る、生活者にとってのリアルなSDGsとは
さらに掘り下げて、投稿内容についても見ていきます。「教えて!おうちで見つけたSDGsなこと」に投稿された全写真439枚を、14のテーマごとに分類しました。
家庭の中のSDGsで最も意識されているのは「再利用すること」という結果で、全体の35.1%がモノを再利用している様子の写真でした。家の中で気軽に実践しやすいことや、ノウハウや工夫を他人にシェアしたくなることが理由だと考えられます。古い衣類を使った手製のチェアカバーなど、再利用したもので何かを手作りした写真、布の端切れを使って作ったミツロウラップ、コンポストの実践など、ゴミの削減を意識した実例も見られました。
再利用
汚れたり擦り切れたりしたものを
2年前に12センチ角に切ってパッチワーク風に
つなげあわせて10年以上前から使っている
IKEAの薄汚れてしまったパーソナルチェア🪑の
カバーにして生まれ変わらせてこの先も
使っていくつもりです✨✨✨
わが家のSDGs𖠿𖥧𖥣。
91歳の祖父の生家にあったもので、100年越えの子たちです。
菊柄のお椀は少し欠けていて食事には使えないので、鉢カバーとして再利用中🌱
そのうち金継ぎしたい✨
まだまだ使えるので、大事にしてます🎶
ゴミの削減
このフリマケースの中へ📦
押し入れの上に
シーツ類と共に並べて収納してます。
捨てる前に
誰か使ってくれるかな?をまず考えています。
硬い皮の野菜や果物の皮を細かく切ったものなどの生ゴミを1日の終わりに混ぜるのは、楽しい日課になっています。
生ゴミが堆肥になり、環境にも、植物にも優しいですし、ゴミ出しの分量を大幅に減らすことができています。
また、住まいや暮らしにこだわりを持つRoomCipユーザーらしいSDGsな取り組みとして、約10%の投稿を占めたのが「長く使うこと・リペアすること」でした。家族のものを受け継いだり、鋳物鍋や土鍋など長く使える調理用品を選んだりと、「長く使うこと自体が豊かである」というライフスタイルが支持を集めているといえます。
長く使う
リュミナルクの蒸し器は12年もの
ステンレスの無水鍋一式は気の早い嫁入り道具として
母が持たせてくれたもので
約25年もの
良い物を長く大事に使う…
これもSDGsかな?
枚数は少なかったものの、興味深い事例もいくつかご紹介します。まずは、「家事分担や自動化によってジェンダー平等を意識している」という工夫。SDGsの中でも環境問題にまつわる実践が注目を集めがちな中で、RoomClipならではのユニークな視点だと言えます。また、サステナブルなエネルギーを意識しているユーザーの投稿も見られました。冬場の寒さをしのぐ方法として、昔ながらの湯たんぽはもちろん、最近ではペレットストーブも人気を集めています。フードロスに着目した工夫は、収納などRoomClipでも人気のトピックに関連しています。
家事分担から考える「男女平等」
共働きをしていても家事の負担割合はほぼ女性…休日も「名もなき家事」で終わります。家事・育児と仕事の両立に悩んで夢を諦めることがないよう、夫婦で平等に分担でき、女性が活躍できる世の中になって欲しいと思います。
よりサステナブルなエネルギー資源の活用
ペレットストーブの燃料である木質ペレットは間伐材から作られていて二酸化炭素の排出を抑制し、地球温暖化を防止するクリーンエネルギーとして国や多くの地方自治体が推進しています👍✨
設置の際は助成金の有無などを調べてみるのがオススメです😊
フードロスを防ぐ
12番目のゴール「つくる責任 つかう責任」
食品ロスを減らす工夫 in 食品庫
その1 賞味期限間近な食品入れ(写真 左下)
常温保存の調味料ストック等専用です。消費期限に余裕のあるものは、左側の白いカゴに入れていますが、期限が近づいたものは、見やすい半透明のこのカゴに移動させ、このカゴのものを優先に使います。
その2 開封済み のお菓子入れ(写真 右下)
未開封のお菓子は左のボックスに、開封したらこのボックスに。なるべくここから消費するようにします。
フードロスを出来るだけ無くすために、ストック管理をしています。
特に冷凍庫内はパンパンで、開け閉めして個数を確認しなくてもパッと見て何がいくつあるか確認できるように冷蔵庫横にマグネットでストック管理してます。 食材を1つ使う毎にマグネットを一個ずつ上にずらし、無くなったら一番下に移動します。
一番下のものは次回の買い物で買う。
それ以外は個数が多いものや古いものから順に使うを心がけて、ロスを防ぎます。
3:スローライフ、エコな暮らし、ロハス……。過去のトレンドがSDGs実践の土台に
最後に、RoomClip内でSDGsへの意識がどのように醸成されていったのかがわかるデータをご紹介します。
これは、2016年から2021年までの、SDGsに関連するキーワードの投稿水準を年次であらわしたものです。SDGsのタグが登場するのは2020年からですが、それ以前から「ロハス」や「スローライフ」、「リペア」、「エコな暮らし」といった、サステナビリティや地球環境の配慮に関連する投稿が継続的にあったことがわかります。「モノを大切に長く使う」「自然素材を活用する」「できることは手作りする」など、SDGsにも繋がる様々な生活の工夫やナレッジが生活者の間で蓄積していたのです。
RoomClipでは日々、創意工夫をしながらポジティブに暮らす生活者の生の声が多く共有されています。SDGsが注目を集めるずっと前から「SDGsな生活習慣」がコミュニティに根づいていたことが、RoomClipユーザー層が他の層に比べてSDGsの実践割合が髙い主要因といえるでしょう。
オーブンシートかアルミホイルを敷いていたけど
シリコンのシートに変えてみたら
こびりつかないし洗って何度でも使えて
もっと早く使えば良かったなと思います。